第19話 ある査定結果
今住んでいる家を貸すことはできるのか。
その答えを知るため、私は最寄り駅前にある不動産会社へ相談した。
聞きたかったのは、売却価格ではない。
賃貸住宅として、どれくらいの家賃で貸せるのか。
それだけだった。
担当者は家の状況や立地を確認しながら、賃貸として募集した場合の想定家賃を教えてくれた。
「15万円から17万円くらいでしょう」
この辺りはファミリー向けのマンションが少なく、一戸建ての賃貸需要が多いという。
近隣の駐車場も、いつも満車の状態が続いている。
月極で2万円から2万5,000円ほどの相場を考えても、駐車場付きの一戸建てを選ぶファミリーは多いのだと担当者は話してくれた。
その数字を聞いた瞬間、私は驚いた。
正直、そこまでの金額になるとは思っていなかったからである。
この家は、希望のエリアで買うために何年も待ち、ようやく手に入れた家だった。
長女が小学1年生、長男が幼稚園というタイミングで引っ越してきて、それから子供たちも成長し、家族4人で過ごしてきた。
手放すことには、自分も含め家族の誰もが、一抹の寂しさを抱くだろうことは分かっていた。
当時建ててくれた工務店が良かったのか、当時の私には、築20年とは思えないほどしっかりした外観に見えた。
もちろん、これは保証された金額ではない。
借り手が見つかるとは限らないし、空室になることもある。
家賃相場も変わるかもしれない。
それでも、頭の中では自然と計算が始まっていた。
「この査定額には、どんな意味があるのだろう。」
査定書を見ながら、その数字を何度も見返していた。
これまで私は、自宅を「住むための家」としか考えたことがなかった。
しかし、この日初めて、別の見方があることを知った。
住むだけではない。
貸すという選択肢もある。
その可能性を、初めて数字として知ることができた。
もちろん、この査定だけで何かが決まったわけではない。
新しい家を建てられるのか。
本当に貸せるのか。
考えなければならないことは、まだたくさん残っていた。
それでも、この査定結果は、これから先の家づくりを考えるうえで、大きな判断材料になった。
私は査定書を見ながら、次に何を考えるべきなのかを整理し始めていた。
次回予告
第20話 家賃で住宅ローンは返せるのか
ある査定結果を聞いた私は、新しい家づくりの資金計画を考え始めることになる。

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