51歳、それでも。第17話 やはり大阪市内中心部で暮らしたい

第17話 やはり大阪市内中心部で暮らしたい

築25年の中古住宅という選択肢も考え始めた。

新築だけにこだわらず、視野を広げて物件を探す。

それまでの私にはなかった考え方だった。

気になる物件があれば、実際に現地へ足を運ぶ。

街を歩き、周辺の様子を見る。

そんな家探しを続ける中で、私はあるエリアを訪れた。

駅から近く、生活に不便はなさそうだった。

住宅街も意外と落ち着いていて、住みやすそうな印象を受けた。

条件だけを見れば、ターミナル駅まで1駅で人気の飲食店もあり十分に候補になる場所だった。

それでも、街を歩いているうちに、私の中でひとつの思いが少しずつ大きくなっていった。

今まで見てきた街と比べても、悪いところは見当たらない。

しかし、不思議と心は動かなかった。

私は歩きながら、これまで訪れた街のことを思い返していた。

何を求めて家を探しているのだろう。

価格なのか。

広さなのか。

新築という条件なのか。

考えれば考えるほど、答えは別のところにあるような気がしてきた。

私が暮らしたいのは、やはりあの街だった。「第12話 駅から2分、冬には陽が当たらない土地」で訪れたエリアだ。

生まれ育ったわけでも、長く暮らしたわけでもない。

それでも、大阪市内中心部には、他の街にはない魅力があった。

通勤のしやすさ。

街の空気。

徒歩圏内の繁華街。

人気の飲食店。

複数路線が通るターミナル駅までの距離。

これまで住んできた街とは違う、新しくて便利な暮らしをしてみたい。

そのどれもが、私にとっては大切なものだった。

家だけを見ていた頃には気づかなかった。

どんな家に住むかと同じくらい、どこで暮らすかも大切だったのである。

そのことが、この日、はっきりと分かった。

もちろん、その街で家を持つことは簡単ではない。

土地は限られ、価格も高い。駅からの距離が近い物件はさらに高くなる可能性もある。

これまで何度も、その現実を目の当たりにしてきた。

正直、遠回りをしているのではないかという焦りが、まったくなかったわけではない。

それでも、その思いは変わらなかった。

条件を広げたからこそ、自分にとって譲れない条件も見えてきた。

今後も地価が下がりにくいと言われている人気ランキングで上位の希少価値のあるエリアだ。

家探しとは、理想をあきらめることではない。

本当に大切なものを見つけることなのだ。

私はもう一度、大阪市内中心部で家を探そうと決めた。

遠回りをしたようにも思えた。

しかし、この遠回りがあったからこそ、自分が目指したい場所を、迷いなく選ぶことができたのだと思う。

いくつもの街を見て、いくつもの土地を見送ってきた時間は、決して無駄ではなかった。

そう、今の私は感じている。

次回予告

第18話 今の家はいくらで貸せるのか

暮らしたい場所は決まった。

しかし、新しい家を建てるには、大きな資金が必要になる。

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