51歳、それでも。第16話 築25年の家に移るという選択

第16話 築25年の家に移るという選択

「本当に、ここへ引っ越す意味があるのだろうか。」

その問いを抱えたまま、私は家探しを続けていた。

新築の土地を探しても、思うようには進まない。

日当たり。

価格。

駐車場。

街の雰囲気。

条件を満たす土地は、なかなか見つからなかった。

いくつもの土地を見送るたびに、少しずつ疲れのようなものも感じ始めていた。

そんなとき、私は少し視点を変えてみることにした。

新築だけではなく、中古住宅も見てみよう。

そう考えたのである。

しばらくして、1軒の一戸建てが目に留まった。

築25年。

これまでなら、あまり候補には入らなかった築年数だった。

しかし、このときは違った。

建物はすでに完成している。

実際の広さや間取り、周辺環境も現地で確認できる。

新築のように、土地を購入してから家が完成するまで待つ必要もない。

その安心感は、これまで感じたことのないものだった。

家探しを続ける中で、私の考え方も少しずつ変わり始めていた。

「新築でなければならない。」

そう決めつける理由は、本当にあるのだろうか。

築25年という数字だけで判断するのではなく、その家でどんな暮らしができるのかを見てみたい。

そう思うようになっていた。

もちろん、新築には新築の魅力がある。

誰も住んだことのない家。

自分たちの希望を反映できる間取り。

長く住むことを考えれば、大きな安心感もある。

一方で、中古住宅には、中古住宅ならではの良さもある。

価格。

立地。

実際の暮らしを想像しやすいこと。

家探しを始めた頃の私は、「新築か、それ以外か」という考え方をしていた。

しかし、いくつもの土地を見てきた今は、選択肢を広げることも大切なのではないかと思い始めていた。

家を建てることが目的ではない。

納得して暮らせる場所を見つけることが目的なのだ。

そのためには、新築という言葉だけにこだわる必要はないのかもしれない。

私は、その築25年の家の資料をもう1度見直した。

新築ではない。

それでも、一度は自分の目で確かめてみたい。

そう思った。

これまで「新築」という言葉に、どこか安心を求めていたのかもしれない。

その安心を手放すことに、少しの怖さがなかったと言えば嘘になる。

それでも、選択肢を狭めたまま探し続けることの方が、今の私には苦しく感じられた。

次回予告

第17話 やはり大阪市内中心部で暮らしたい

新築だけではなく、中古住宅という選択肢も考え始めた。

条件を広げて物件を見比べるうちに、私はあるエリアの家を訪れることになる。

そこで目にした光景が、私の中に、ある1つの思いをはっきりさせることになった。

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