第13話 土地2,980万円、総額5,500万円
駅から徒歩2分。
冬にはほとんど陽が当たらない可能性があり、前の道も約2メートルしかない。
気になる点はあった。
それでも、希望していた街で見つけた土地だった。
土地の価格は51.1㎡(15.45坪)で2,980万円。
大阪市内中心部で家を建てたいと考えていた私にとって、決して安い金額ではない。
しかし、まったく手が届かない金額でもないように思えた。
「土地が2,980万円なら、何とかなるかもしれない。」
そのときの私は、土地の価格を中心に考えていた。
もちろん、土地を買うだけでは家は建たない。
建物の費用が必要になることも分かっていた。
土地と建物以外にも、さまざまな費用がかかることは理解していた。
それでも、実際にいくら必要になるのかまでは、まだ具体的に見えていなかった。
不動産会社の担当者に、土地を購入して家を建てる場合の総額を尋ねた。
返ってきた答えは、私が想像していたものより大きかった。
土地が2,980万円。
建物がおよそ2,000万円。
さらに諸経費が約500万円。
合計すると、約5,500万円になるという。
「5,500万円。」

私は、その数字を頭の中でもう1度繰り返した。
土地の販売価格だけを見ていたときには、現実的な候補に思えていた。
しかし、家として完成させるまでの費用を積み上げると、見えていた景色は大きく変わった。
土地価格と総額は違う。
当たり前のことだった。
けれど、実際の数字を突きつけられると、その違いは想像していた以上に重かった。
最初の家の建築は69.61㎡土地に119.04㎡の建物面積、鉄骨造3階建てで17,000,000円(税別)の建築費だった。
前回の土地よりも狭くなっていることもあり、建物がおよそ2,000万円もかかるとは想像していなかった。
2,000万円はおよその金額なので、すべてが収まるとは限らない。
土地の条件や希望する間取りによっては、追加費用が必要になる可能性もある。
諸経費も、できれば抑えたい費用ではある。
しかし、家を買うためには避けて通れないお金だった。
私は改めて、住宅情報に掲載されている土地価格だけで判断してはいけないことを知った。
土地を買う。
家を建てる。
住宅ローンを組む。
登記をする。
家が完成し、暮らし始めるまでには、いくつもの費用が積み重なっていく。
2,980万円の土地は、私の中で5,500万円の計画へと姿を変えた。
駅から徒歩2分という魅力。
希望していた街で暮らせる可能性。
その一方に、総額5,500万円という現実があった。
この土地を見送るかどうかということ以上に、私は1つの事実を受け止めなければならなかった。
大阪市内中心部で新築一戸建てを建てるためには、少なくとも5,500万円ほどの資金を考える必要がある。
夢を具体的な計画に変えたことで、初めて見えてきた金額だった。
家を建てる夢が遠ざかったとは思わなかった。
ただ、その夢が思っていたよりも高い場所にあることを知った。
それでも私は、物件情報を閉じなかった。
希望する街が難しいのなら、別の可能性を探せばいい。
そう考えながら、私は再び土地を探し始めた。
次回予告
第14話 40メートル後退する駐車場
希望する街では、予算が厳しい。
そう感じた私は、別の街に目を向けた。
駅から近く、費用も抑えられそうな土地だった。
しかし、物件情報だけでは分からない問題が、そこには残されていた。

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