51歳、それでも。大阪市中心部で一戸建てを建てる。第12話

第12話 駅から2分、冬には陽が当たらない土地

ノートに住みたい街や予算を書き出してから、私の土地探しは、さらに具体的になっていった。

毎日のようにSUUMOを開き、条件に合う土地が出ていないかを確認する。

希望していた街であること。

駅から近いこと。

生活に便利なこと。

将来も価値が残りそうなこと。

そして、自分自身がそこで暮らしたいと思えること。

そんな条件を重ねながら探していると、気になる土地が見つかった。

最寄り駅から徒歩2分。

大阪市内の中心部で暮らしたいと考えていた私にとって、その近さは大きな魅力だった。

駅を出てから、ほとんど歩かずに家へ帰ることができる。

雨の日も、荷物が多い日も負担が少ない。

将来、年齢を重ねたときにも、駅に近いことは大きな価値になる。

「ようやく条件に合う土地が見つかったかもしれない。」

そう思った。

掲載されてから、すでに時間がたっていた。

不動産会社へ問い合わせると、購入の話がかなり進んでいる人がいて、そのあとにも待っている人がいると聞いた。

迷っている時間は、それほどないのかもしれなかった。

しかし、説明を聞く中で、気になることが2つあった。

まず1つは、日当たりだった。

土地の南側に、大型高層マンションが建っていたのである。

不動産会社の話では、夏は太陽が高い位置を通るため、かろうじて陽が当たるという。

けれど、冬になると、ほとんど陽が当たらない可能性が高いという。

駅から2分。

希望していた街。

条件だけを並べれば、簡単には出会えない土地だった。

それでも、「日が当たらない」という言葉が心に残った。

家の中が暗くならないだろうか。

冬は寒く感じないだろうか。

洗濯物は乾くだろうか。

毎日暮らしていく中で、日当たりを我慢し続けることにならないだろうか。

もう1つ気になったのは、道幅だった。

土地の前の道幅は2メートルほどしかなく、車の乗り入れができない。

車を持たない暮らしは、考え方を変えれば受け入れられるかもしれない。

土地が広くなくても、間取りを工夫できるかもしれない。

しかし、陽の光だけは、自分の努力で増やすことができない。

私は、駅からの近さと日当たりを、頭の中で何度も比べた。

利便性を優先するのか。

毎日の暮らしやすさを優先するのか。

どちらにも、簡単な答えはなかった。

土地は、数字や条件だけで選ぶものではない。

駅から何分か。

面積はいくらか。

価格はいくらか。

それらは、もちろん大切である。

けれど、実際にそこで暮らしたとき、朝どんな光が入り、冬の部屋でどのように過ごすのか。

物件情報には書かれていない暮らしまで想像しなければ、本当の答えは見えてこない。

駅から2分という魅力的な言葉の前で、私は初めて立ち止まった。

条件に合う土地を見つけることと、そこで幸せに暮らせることは、同じではなかった。

その土地は、私に最初の問いを投げかけていた。

次回予告

第13話 土地2,980万円、総額5,500万円

土地の価格は、予算の範囲に入っているように見えた。

しかし、家を建てるために必要なのは、土地代だけではない。

建物の費用。

さまざまな諸経費。

不動産会社から伝えられた総額を前に、私は大阪市内中心部で家を建てる現実を知ることになる。

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