第6話 一歩踏み出さなければ、未来は変わらない
「もう1軒一戸建てを買えるようになれればいい。」
夢はできた。
でも、夢は思い描くだけでは叶わない。
あの頃の私は、そのことを少しずつ理解し始めていた。
本を読む。
資格を取る。
不動産賃貸業をしている人の話を聞く。
興味を持ったことには、とにかく飛び込んでみる。
できることから、1歩ずつ始めていった。
振り返ると、その頃の私は「成功する方法」を探していたわけではない。
「昨日より少し成長した自分になりたい。」
そんな気持ちの方が強かったように思う。
もちろん、不安もあった。
会社員として広告業界で働く自分に、本当に不動産賃貸業などできるのだろうか。
知識はまだ十分ではない。
経験もない。
資金にも限りがある。
それでも、1つだけ決めていたことがある。
立ち止まらないこと。
どんなに小さな1歩でもいい。
昨日より今日。
今日より明日。
ほんの少しでも前へ進もう。
そう考えるようになっていた。
だから資格の勉強も続けた。
知らないことが1つ減るたびに、少しだけ自信が増えた。
新しい知識を得るたびに、不動産という世界が少しずつ近く感じられるようになった。
本を読むだけではない。
ファイナンシャルプランナー、保険会社や保険代理店、不動産投資会社、証券会社、税務・会計コンサルティング会社など、興味を持った分野の専門家には、自分から積極的に会いに行った。
提案を受け、本を読み、自分でも調べた。
誰かの答えをそのまま信じるのではなく、自分自身が納得できる答えを探し続けた。
その積み重ねが、少しずつ自分なりの判断基準を育てていった。
この頃になると、子どもたちも大学へ進学していた。
あと数年すれば、大学を卒業し、学費という大きな支出も1区切りを迎える。
その頃には、新しい挑戦ができるかもしれない。
そんな未来を思い描きながら、私は今できる準備を始めることにした。
一戸建て不動産投資。
マンション不動産投資。
1棟アパート不動産投資。
変額保険。
貯蓄型保険。
投資信託。
日本株。
外国株。
仮想通貨。
金・銀・プラチナ投資。
外貨預金。
興味を持ったものは、片っ端から書籍を読み漁った。
休日も。
通勤時間も。
夜寝る前も。
気がつけば、本を読むことが日課になっていた。

累計すると、200冊は超えていると思う。
もちろん、知識を増やすことが目的ではない。
自分の人生には何が合っているのか。
何を選び、何を選ばないのか。
その答えを見つけたかったのである。
資格で得た知識。
200冊を超える読書。
専門家からの提案。
その3つが、私の判断基準を育ててくれた。
そして現在、私は1戸建て不動産投資、変額保険、貯蓄型保険、投資信託、日本株、外国株、仮想通貨、金・銀・プラチナ投資、外貨預金を実際に始めている。
もちろん、どれか1つに資産を集中させることはしない。
私が選んだのは、分散積立投資という考え方だった。
未来は、何が起こるかわからない。
だからこそ、1つに頼らず、いくつもの選択肢を持つ。
それは投資だけではなく、生き方そのものにも通じる考え方になっていった。
今思えば、あの頃の私は「結果」を追いかけていたのではない。
「行動する習慣」を身につけていたのだと思う。
未来は、ある日突然変わるものではない。
毎日の小さな選択。
毎日の小さな努力。
その積み重ねが、少しずつ未来を変えていく。
私自身が、そのことを1番学んだ時期だった。
夢は、待っていても近づいてはこない。
自分から1歩踏み出して、初めて近づいてくる。
あの日、小さな1歩を踏み出した自分が、今の私の人生を動かしてくれた。
次回予告
第7話 51歳、もう一度家を探し始める
「もう1軒一戸建てを持ちたい。」
その夢は、少しずつ現実味を帯び始めていた。
20代、30代とは違う。
51歳での家探しは、人生そのものを見つめ直す挑戦だった。
住宅価格は高騰し、建築費も上がり続けている。
それでも私は、もう1度SUUMOを開いた。
毎日のように物件情報を眺めながら、新しい暮らしと未来の資産形成を思い描く。
51歳。
人生は守りに入る年齢だと言われるかもしれない。
それでも私は、もう1度夢に向かって歩き始めることにした。

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