第2話 家を買うことは、何かをあきらめること
18歳だった私には、「家を買う」ということがどれほど大きな決断なのか、もちろん分からなかった。
住宅ローンという言葉は知っていても、その仕組みを理解していたわけではない。
家を建てるために、どれほどのお金が必要なのかも知らなかった。
だから、ドラマに描かれていた家づくりを、現実として受け止めていたわけではない。
それでも、1つだけ心に残ったことがあった。
そのドラマでは、「家を買うこと」は、夢がかなう瞬間だけを描いてはいなかった。
思い描いていた理想どおりには進まない。
悩み、迷い、家族で話し合いながら、1つひとつ答えを探していく。

そんな姿が、18歳だった私にはとても印象的だった。
当時の私は、「家を買うことは、何かをあきらめることなんだ」と言葉で理解していたわけではない。
むしろ、そのような表現を思いつくことさえなかったと思う。
しかし、ドラマを見終えたあとに残った感覚は、今でも覚えている。
「家を持つ」ということは、楽しそうという一言では片づけられない。
そんな重みのようなものを感じていた。
今振り返ると、あのドラマは「選ぶこと」の難しさを描いていたのかもしれない。
何かを選べば、何かを選ばない。
理想があれば、現実もある。
すべてを手に入れることはできない。
そんな人生の当たり前を、「家」というテーマを通して伝えていたように思う。
これは今の私が感じていることであり、18歳当時にそこまで理解していたわけではない。
けれど、「家を持つことには覚悟が必要なのかもしれない」。
そんな印象だけは、心のどこかに残った。
不思議なもので、その感覚は年月が過ぎても消えなかった。
ドラマの細かな内容は少しずつ忘れていった。
けれど、「家」という言葉に触れるたび、18歳のあの日に感じた何かが、心の奥で静かに息づいているような気がしていた。
理由は分からない。
それでも、確かに残っていた記憶だった。
今だから思う。
人生には、そのときは意味が分からなくても、あとになって大きな意味を持つ出来事がある。
18歳の私にとって、このドラマとの出会いは、まさにそんな出来事だった。
あの日、心に残った小さな感覚は、この先の人生で少しずつ形を変えながら、私の中に生き続けることになる。
次回予告
第3話 24歳で結婚し、家族ができた
大学を卒業し、社会人となった私。
24歳で結婚し、新しい家庭を築くことになります。
家族ができたことで、「住む」ということの意味は、少しずつ変わり始めていきました。

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