51歳、それでも。第2話 家を買うことは、何かをあきらめること

第2話 家を買うことは、何かをあきらめること

18歳だった私には、「家を買う」ということがどれほど大きな決断なのか、もちろん分からなかった。

住宅ローンという言葉は知っていても、その仕組みを理解していたわけではない。

家を建てるために、どれほどのお金が必要なのかも知らなかった。

だから、ドラマに描かれていた家づくりを、現実として受け止めていたわけではない。

それでも、1つだけ心に残ったことがあった。

そのドラマでは、「家を買うこと」は、夢がかなう瞬間だけを描いてはいなかった。

思い描いていた理想どおりには進まない。

悩み、迷い、家族で話し合いながら、1つひとつ答えを探していく。

そんな姿が、18歳だった私にはとても印象的だった。

当時の私は、「家を買うことは、何かをあきらめることなんだ」と言葉で理解していたわけではない。

むしろ、そのような表現を思いつくことさえなかったと思う。

しかし、ドラマを見終えたあとに残った感覚は、今でも覚えている。

「家を持つ」ということは、楽しそうという一言では片づけられない。

そんな重みのようなものを感じていた。

今振り返ると、あのドラマは「選ぶこと」の難しさを描いていたのかもしれない。

何かを選べば、何かを選ばない。

理想があれば、現実もある。

すべてを手に入れることはできない。

そんな人生の当たり前を、「家」というテーマを通して伝えていたように思う。

これは今の私が感じていることであり、18歳当時にそこまで理解していたわけではない。

けれど、「家を持つことには覚悟が必要なのかもしれない」。

そんな印象だけは、心のどこかに残った。

不思議なもので、その感覚は年月が過ぎても消えなかった。

ドラマの細かな内容は少しずつ忘れていった。

けれど、「家」という言葉に触れるたび、18歳のあの日に感じた何かが、心の奥で静かに息づいているような気がしていた。

理由は分からない。

それでも、確かに残っていた記憶だった。

今だから思う。

人生には、そのときは意味が分からなくても、あとになって大きな意味を持つ出来事がある。

18歳の私にとって、このドラマとの出会いは、まさにそんな出来事だった。

あの日、心に残った小さな感覚は、この先の人生で少しずつ形を変えながら、私の中に生き続けることになる。

次回予告

第3話 24歳で結婚し、家族ができた

大学を卒業し、社会人となった私。

24歳で結婚し、新しい家庭を築くことになります。

家族ができたことで、「住む」ということの意味は、少しずつ変わり始めていきました。

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